意外に簡単!?「手作り燻製」のススメ
- 料理
- 2014.7.11最終更新日:2021.1.4
- かいたひと:よこちん
はじめまして、イノベグループ所属ポッケ調理担当?のよこちんです。
先日、ポッケメンバーで奥多摩にニジマス釣りに行きました!
放流釣りだった事もあってか笑えるほどの爆釣で大量のニジマスが釣れたのですが、そんなに沢山あっても食べるのに困るという話になり、余ったニジマスを全て渡されてしまいました。その数なんと45匹!
そんなに持って帰ってどうするんだ?という疑問があるかと思いますが、その回答は…
「全部燻製にするんだよ!」
燻製というと普通の家庭ではあまり行わない調理方法だと思いますが、基本を覚えれば意外に簡単。燻材さえ買ってくれば特別な設備もなく工夫次第で自宅でも作れるよ!という話を今回は記事にしようかと思います。
と、その前に燻製について基本を押さえておこうかと思います。そんなの知ってて当然、常識だろ?って方は読み飛ばしてもらってOKです。
目次
燻製方法
燻製には大きく分けて3種類の方法があります。
冷燻
15~30℃で、1日~数週間かけて長期間に渡り低温で煙を当ててじっくりと燻す方法です。冷燻で作った燻製は水分が十分に抜けて長期保存が可能となりますが、温度管理が難しくそれなりの知識、機材が必要となるため素人にはオススメできません。
温燻
30~80℃で、1時間~1日程度の時間で燻す方法です。それなりに時間をかけて燻す事になるので温度管理が楽なスモークウッドの利用を推奨します。温燻で作った燻製は水分が程良く抜けてソフトな仕上がりとなり、冷蔵で1週間(冷凍なら1ヶ月)程度の保存性もあります。
熱燻
80~120℃で、10分~1時間程度と短時間、高温でさっと燻す方法です。熱燻では高温を維持して短時間で多くの煙が出せるスモークチップでの利用が良いです。熱燻で作った燻製は表面が炙ったように香ばしく、中身は水分を残してジューシーな仕上がりになります。ただ他の2種と比べて保存性は殆どありません。
燻製方法の比較
燻製方法 | 温度 | 時間 | 保存性 | 水分 | 向いてる食材 |
冷燻 | 15~30℃ | 1日~数週間 | 1ヶ月以上 | 少ない | 生ハム、スモークサーモン、ビーフジャーキー |
温燻 | 30~80℃ | 1時間~1日 | 1週間程度 | 普通 | ベーコン、ニジマス、竹輪などの練物 |
熱燻 | 80~120℃ | 10分~1時間 | 数日 | 多い | スペアリブ、魚の一夜干し、ウィンナー |
※上記はあくまで目安です、塩漬け~塩抜きの時間や、温度と時間のバランスで仕上がりは変わります。
燻材の形状
食材を燻すには燻材が必要となります。
燻材には大きく分けてチップとウッドの形状があります、燻製方法や利用シーンに応じて使い分けてください。
チップ
細かい木片です。熱しやすく直ぐに燃え尽きてしまいますが、煙が多く出るので短時間での燻製(熱燻)に向いています。使い方は金属製の皿にスモークチップを入れて、その下からコンロの火や熱した炭等の熱源をあてて煙を出します。
ウッド
おがくずのような粉状の木屑を固めたものです。チップに比べて燃焼時間が長く、低温で燻せるため長時間での燻製(温燻、冷燻)に向いています。使い方はチップと異なりスモークウッドに直接にバーナー等で火を付けて利用します。
燻材の種類
燻材は元となる木材によって風味が変わります。
燻材 | 特徴 |
サクラ | 香りが強く、羊や豚などクセの強い肉類や魚類に向いてます。また汎用性も高いので個人的に迷った時はサクラを使ってます。 |
ブナ | 色付きが良く魚介類に向いています。川魚を燻す時の最有力候補だと思います。 |
ナラ | ブナと似たような特徴ですが、コチラの方が初心者向き。仕上がりはブナより軽い感じかな。 |
クルミ | クセがないので肉類や魚類をはじめ、チーズや練物など幅広い食材に使えます。 |
リンゴ | 香りが柔らかいので、クセのない鶏肉や白身魚など淡白な素材に向いています。 |
ヒッコリー | 北米で多く使われていて、特にベーコンやハム、スモークサーモンを作るのに向いています。 |
ホワイトオーク | ウィスキー樽として使われたナラ材で、淡白な素材に向いています。実は使った事がないので詳細は不明。 |
上記のような特徴がありますが、最初のうちはあまり拘らなくてもいいかと思います。個人的には色々な食材にあう万能型のクルミ、サクラ辺りをよく使っています。
燻製の手順
燻製の作り方と言えば「煙で食材を燻せばいいんでしょ?」と思われがちですが、一から行うには次のような工程が必要となります。
下処理
肉ならスジ切り、余分な脂身の取り除き。魚ならエラ、内臓、血合いを取って水で洗い流すなどして臭みや腐敗の原因となる部分を取り除きます。また食材を扱いやすいサイズにカットしたり、魚を三枚におろすなど完成時の形をこのタイミングで作っておきます。
塩漬け
高い濃度の塩に漬けて食材に塩分を染み込ませる工程です。塩味をつける以外にも食材の水分を抜き保存性を高める効果もあります。塩漬けには直接塩をすり込む「ふり塩法」、ソミュール液やピックル液などの塩水に漬け込む「たて塩法」があります。
塩抜き
食材に浸透させた塩を抜く行程です。なぜわざわざ塩漬けしてから塩抜きしないといけないのか?と疑問に思うかもしれませんが、この工程を省いて塩を振るだけにしてしまうと表面の塩分だけが高く、中心まで塩味が染みなくなってしまうためです。塩抜きの方法は食材をボール等に入れ流水を掛けて行います。この際食材に直接水が当たらないようにしてください。
風乾
食材から水分を抜く工程です。水分が残ったまま燻煙にかけると煙の付きが悪く風味や色付きに影響が出てしまいます。また水分が少ない方が雑菌の繁殖を防げるためしっかりと行う必要があります。風乾の方法は風通しの良い日陰に食材を吊るすのがベストですが、場所を用意出来ない場合は扇風機で風を当てたり、冷蔵庫内で乾燥させてください。
燻煙
食材を煙で燻す燻製のメイン工程です。煙で燻す事で食材の殺菌を行い保存性を高めると共に独特の風味をつける事ができます。燻煙の方法は前述の燻製の方法、燻材を参照ください。
熟成
燻煙まで完了すれば燻製として食べられる状態になりますが、燻煙後に時間を置いて熟成させる事により煙っぽさが和らぎ、また味も全体に馴染み美味しくなります。熟成は燻煙後、冷蔵庫などで数時間~数日置いてください。
上記が燻製の基本手順となりますが全ての工程を踏んでるともの凄く時間が掛るので、食材や掛けられる時間によって一部工程を省くなどアレンジしてください。
よくやるのですが例えばスーパーで燻製に合いそうな食材買ってきて軽くキッチンペーパーで水分を拭って燻煙だけして直ぐに食べるとか。こちらは全ての食材をサクラチップで熱燻(100℃で40分)して作りました。写真にはないけど鮭の切り身(甘塩)とか魚の一夜干しもオススメです!
いよいよ本番、ニジマスを燻製!
では、これまでの説明を踏まえて実際にニジマスの燻製工程を見て行きましょう!今回の記事を書くために燻製について調べたら色々間違ってた事に気付きましたが、細かい事は気にせずに(笑)
下処理
今回はニジマス釣り場で内蔵処理までして貰えたので必要なし。自分で捌く場合は腹を割いてエラと内蔵を除去して流水でよく洗っておきましょう。またヌメリが気になる場合は軽く塩を振って洗ってください。あと本当はウロコ取りもした方がいいんですが今回は量も多く面倒だったので省略。
塩漬け
次に塩漬け、今回はソミュール液に漬ける方法を取りました。三温糖使ってますが無ければ砂糖でOKです。またスパイスもお好みでどうぞ。
ソミュール液のレシピ
・水…1リットル
・塩…150g
・三温糖…70g
・カルダモン…5粒
・ベイリーフ…3枚
作り方:水を沸騰させたら、そこに塩、三温糖、スパイスを入れて20分くらい煮立たせます。一度煮立ったら常温に戻してからニジマスを漬けこみます。
ちなみに45匹のニジマスを漬けこむのにソミュール液1リットルでは足りないです。1.5~2リットルはあった方がいいです。作り足すのが面倒だったのでジップロックに隙間なくニジマスを詰めてそこにソミュール液を入れて凌ぎましたが…予め多めに作っておけば不要なひと手間です。
ジップロックに入れたニジマスは冷蔵庫に移し、今回は丸1日くらい漬けました。
塩抜き
日が変わって次は塩抜きです。今回は3時間くらいチョロチョロと水を流しながら塩を抜きました。実はこの工程が一番難しいです。薄すぎても濃すぎても駄目なので、食材をちょっと切り取って火を通し味を見ながら調整します。気持ち薄めにしておいた方が失敗しないと思います。
風乾
次に風乾ですが、しっかりと乾燥をさせるためニジマスの開いた腹に爪楊枝を半分に折って頭と尻部分に入れます。あとは吊るし用にニジマスのエラにひっかけ口にタコ紐を通せば準備OK!
家には風乾用のネットがないので物干し竿に吊るしてみました(本来は日陰で干すのが良いみたいですね)
45匹並べた時の画。いやー壮観ですね!
燻煙
いよいよ燻煙です。今回は量が量なので一度に燻せるようにダンボールを使って行いました。ええ、専用の機材なんて必要ありません。
燻製機の材料
・ダンボール
・バーベキュー串
・アルミホイル
・スモークウッド(写真はサクラですが、実際はヒッコリーを使いました)
・金皿
これを写真のような形で組み立てます。金皿に火を付けたスモークウッドを置いて、ダンボール燻製器を被せてください。スモークウッドは火の付きが悪いと途中で消えてしまうので最初の1時間くらいはちゃんと火が付いているか確認した方がいいです。今回は大体6時間燻してみました。
ダンボール燻製器の中身(燻煙完了後)
なお燻煙中は煙が出るので、近隣住民の方に迷惑が掛らないように気を付けてください。
熟成
完成した燻製をジップロックに入れて冷蔵庫で寝かせます。本当は2日くらいは寝かせた方が美味しいのですが、今回は出来あがりを早く食べたいという人が多かったので一晩寝かしてから頂きました。
おまけ
簡単とか言ってる割には面倒くさそうだなと思ったあなた!もっと手軽に、かつこの季節にあった燻製があります。それは・・・
「BBQ燻製!」
必要なもの
・スモークチップ
・焼そば用アルミプレート
・金網(小)
・アルミホイル
・温度計
BBQで炭を熾したら肉を焼いてる傍らを借りて、アルミホイルを敷きスモークチップを乗せます。後はその上に金網を置いて食材を乗せてアルミプレートを被せれば簡易スモーカーの完成です!
写真は焼きそば用プレート手に入らなかったのでパウンドケーキの型で代用しましたが鮭の切り身ぐらいは燻せます。
それでは良いSmoking Lifeを!