図書館の本を読む

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旅行が好きなごそうです。こんにちは。

突然ですが、皆様「ダイヤモンド・プリンセス号」という名前をご記憶でしょうか。
このパンデミック初期の2020年2月、日本で新型コロナウイルスの報道が始まった頃に集団感染が起こって話題になったクルーズ船です。ずっと沖で停まってましたよね。

私はこの船の2020年3月のクルーズを予約してたんですよ。当然運航中止で強制キャンセルです。お金が全額無事に返ってきたのは良かったんですが、それ以来のパンデミック下ではノンキな海外クルーズなんてもう夢のまた夢です。そして2年近く経ってもあの頃の生活には戻れてません。まあ、これはみんな同じですよね。

「豪華客船よ! 何着てく!?」なんて計画をしていたのも、もうはるか彼方の記憶です。

そんな中、新たな楽しみとして、私は図書館の本を借りることにしました。

これは弊社ことポッケがフル在宅勤務を推奨したので通勤時間が浮いて時間ができたのもあるし、比較的都会に住んでる身としては、やろうと思えば家から本当に一歩も出なくても暮らせてしまうので、動かなさすぎて健康に悪そうだからです。わりと安全に出かけられる用事をなにか作りたかったんですね。

私みたいな怠惰なタイプの人間は、出かける用事(例:出社)がないと本当に出かけないからねえ……5日ぶりに靴を履いて歩いた時は、なんかもう体幹のバランスがおかしくなってたわ。

【目次】

  1. 今の図書館ってこんな感じ
  2. 図書館で借りて読むのにおすすめの書籍紹介&その理由
    1. ~自力で遺書が書ける!~竹内 亮『自分で書く「シンプル遺言」-簡単なのに、効力抜群!』
    2. ~トレーニングにも!~星 新一『星新一ショートショート1001 1 1961-1968』
    3. ~海外のぶっ飛び方はいい~ホリー・ゴールドバーグ・スローン/メグ・ウォリッツァー『夜フクロウとドッグフィッシュ』
    4. ~二十年ぶりの補足~梨木香歩『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』

今の図書館ってこんな感じ

そんなわけで、「図書館で本を借りたら期限内に返しに行かないといけないし、ちょうどいいのでは?」と思って、調べてみたら、今の図書館ってとても便利になってます。

・ネットで蔵書が検索できる
・自治体内のどこの図書館の本でも家の近くの受け渡し場所まで2~3日で持ってきてくれる
・予約待ち人数の確認も全部ネットでできる
・「お気に入りリスト」「読書履歴」もネットで管理できる
・電子書籍の貸し出しもある(種類は少ない)
・漫画も少しはある

と、至れり尽くせりなのです。二十年ぶりの図書館利用では驚かされることばかりでした。
※自治体によって異なります

図書館で借りて読むのにおすすめの書籍紹介&その理由

図書館に長時間滞在するのはよろしくないかなあ、と、もっぱらネットで蔵書検索&予約、近所のスーパーの上にある受け渡し場所でさっと受け取り、という形で利用しています。
一年ぐらい使ってみたので「こんな本を借りてみたらどうかしら?」というのをおすすめ理由付きでご紹介します。

~自力で遺書が書ける!~
竹内 亮『自分で書く「シンプル遺言」-簡単なのに、効力抜群!』

いきなり遺言の書き方の本を薦めるのもなんなんですが、私、新型コロナが流行りだした時に「うっかり死んだらどうしよう」と思ったんですよ。

私は何もなければまだそうそう死ぬような年齢ではないはずなんですが、独身中年男性としては、「万一死んだ時にそもそも紙の通帳のないネット銀行に入ってるお金とか、親(老人)じゃ口座があることすら気づかなくない?」とか「例えば、法定相続人がこういう順で死んでったと仮定したら〇〇が××で△△~~じゃない?」とかいろいろ考えてしまったんですね。

そしてこのコロナ真っ最中の令和2年7月、「自筆証書遺言書保管制度」というのが新たに制定されたんですよ。これまで、法的効力のある遺言書って、作るのにも保管するにも十万円単位でお金がかかってたのですが、この制度を利用すれば、3,900円で法務局が保管してくれるのです。

複数の遺言書作成ガイド本を読んだわけではないので比較できないんですが、この本は「自筆証書遺言書保管制度」を前提として書かれた本で、シンプルな遺言を書くメリットがわかりやすく解説されています。

そしてなぜこの本の図書館利用を勧めるかというと、遺言書の書き方の本なんて1回使ったらそうそう読み返すもんじゃないだろう、と思ったからです。作者及び出版関係者の方、ごめんなさい。遺言書を書くのに貸出期間以上に時間がかかりそうな人は是非ご購入ください……。

【参考】法務省 自筆証書遺言書保管制度
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

ちなみに「亡くなった人が結婚してて子供がいなくて、故人の親も両方亡くなってて、故人の兄弟も亡くなってるけど、その子はいる」という状況だと、故人の甥姪も法定相続人になるそうです。うーん、配偶者が亡くなった時にその資産の何分の一かを配偶者の甥姪が持ってったらイヤじゃない……? そうでもない? 正直配偶者の甥姪なんて会ったことないケースも多そうだし。この状況だと100%配偶者が相続するのが現代の感覚だと自然なような。他にも「子のいない夫婦の場合」「事実婚の場合」「同性パートナーの場合」など、遺言書を作ったほうがいい人の場合分けが書かれていて勉強になりました。

~トレーニングにも!~
星 新一『星新一ショートショート1001 1 1961-1968』

若い方はご存じないかもしれませんが、作者の星新一さんは昭和後期に「ショートショートの神様」と呼ばれていて、とても人気のある方でした。「ショートショート」という言葉ももう死語かしら? 定義は曖昧だけど、アイデアを軸にした掌編~短編小説ですね。昭和の小学生には、星さんの書かれるSFチックな未来が魅力的で、随分と読んだものでした。

今でも文庫本が10冊以上は手元にあるから、この全集的な本を借りても大分ダブるかな、とも思ったけど、借りてみたのには理由があって、この本、3巻セットの1冊目で、3巻セットで35,200円! なのです。自分で買うにはなかなか手の届きにくいお値段……。お高い本も借りられるのが図書館の強みですね。

そして、読んでみたら今でも面白かったんだけど、とにかく重量がすごい! 多分一冊2kg以上はある。

立って読んだり座椅子で読んだり机で読んだり寝転がって読んだりしてみたけど、どんな体勢でも読み辛い……。まあ、ちょっとした筋トレにもなるし、運動不足になりがちなこのご時世にはそういう意味でもお勧め……と思ったけど、やっぱり文庫の方が読みやすいわ(台無し)。

~海外のぶっ飛び方はいい~
ホリー・ゴールドバーグ・スローン/メグ・ウォリッツァー
『夜フクロウとドッグフィッシュ』

アメリカのヤングアダルト小説です。ヤングアダルト(YA)はアメリカでは中高生向けぐらいの設定の本のこと。何冊か読んでみたけど、今のところハズレがない感じ。これは私の憶測なんですが、そもそも出版点数が日本の何倍もあるアメリカの本の中でわざわざ選ばれて日本語訳されてる時点で、玉石混交の玉なんだと思います。

しかしハズレが少ないとはいえ、海外翻訳本はお値段がちょいとお高めなので、まずは図書館でお試ししたらどうかというのがおすすめの理由。たいていの人にとって、作者買いできるほど作者になじみもないですしね。

この本はもう設定からすごくて、しょっぱな、カリフォルニアに住む12歳の女の子が、ニューヨークに住む知らない12歳の女の子に
「そっちのお父さんは、うちのお父さんとつきあってるんだよ」
というメールを送るところから始まります。

90年代のトレンディドラマ並みに急展開の紆余曲折アリで、カリフォルニアの女の子のおばあさんは女優デビューするし(なぜ?)、お父さん同士はそれぞれの娘を置いて中国にラブラブ☆バイク旅行に出かけたんだけど大ゲンカして別れるし(男の人っていいトシになってまでバカなんじゃ?)、でも、最後はお父さんたちの結婚式でハッピーエンド……と見せかけて、まあ一応の一応はハッピーなエンドなんだけど、「えっ?」と思わされたり……です。

そんなエンターテイメントでありながら、育った環境の違う少女同士の葛藤を経ての友情と成長が現代アメリカの文化を取り込みつつうまく書かれていて、楽しい本でした。私は平凡な昔の人なので、「アメリカ人ってパワフルなんだなあ」と思いました。

~二十年ぶりの補足~
梨木香歩『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』

1994年に初版が発行された梨木果歩さんのデビュー作に、書き下ろしの短編を収録して
2017年に発行された本です。その間23年。おお……。私は2001年の文庫初版を持っているのですが、書き下ろしの短編が目当てで借りました。

表題作は、生硬で中学校のクラスでうまくやっていけなくなった少女「まい」が、療養も兼ねて、日本の田舎に住んでいるイギリス人の祖母の家で暮らした思い出話がメインです。

魔女の血筋のおばあちゃんとの田舎暮らしがオシャレなんですよ。キンレンカのサンドイッチを食べたり、ラベンダーの茂みにシーツを干して香りをうつらせたり、とか、もうキュンキュンしちゃいますね。

おばあちゃんこと「西の魔女」の魔法は、火を吹いたりするような派手なものではない、予知や千里眼のような、ちょっと手が届きそうに思わせられる力です。まいは「魔女修行」と称してしばらくおばあちゃんと暮らすのですが、特に目立って魔法らしき力は身に付かないまま、おばあちゃんと仲違いというか、きまずい感じになったままで引っ越してしまいます。そしてタイトル通り、おばあちゃんはその2年後に亡くなります。この訃報が小説の始まり部分です。

おばあちゃんの亡くなった日、おばあちゃんの残した最後の魔法を見て、まいは魔法に目覚めることになります。このラスト数ページは今読んでも呼吸がおかしくなるし、涙腺にきます。本当にいい本です。

とてもいい話なんですが、私には20年前に読んだ時に引っかかってたことがあって、おばあちゃんの家と林の中で敷地が隣接している「ゲンジさん」という人が、おばあちゃんの土地と自分の土地の境目の段差のところを鍬で掘り崩してて、それをまいに見つかった時に「タケノコを掘ってる」と言い訳するんですよ。

いや、これ、絶対、自分のところの土地を不正に広げようとしてるよね……? このことにおばあちゃんが寛容な対応をしていたので「それはいいのか? これは潔癖なまいでなくても普通怒るよ」と思っていたのですが、なんと23年の時を経て追加された書き下ろし短編、まいが出て行った後のおばあちゃんのモノローグで語られる「かまどに小枝を」では、おばあちゃんが争わずにこのことを解決することが示唆されているんですよ。おう。随分時間経ってからだったけど、おばあちゃんの土地、まいのサンクチュアリが無事で良かった……。というか、作者もここは引っかかってたのでは。

これは特に図書館で借りなくても買って手元に置いておきたくなる、多くの人の心のお友達になれる本なんですが、ちょっとやっかいなのが、版によって収録されている作品が違うことなんですよ。

単行本:『西の魔女が死んだ』楡出版(1994年発行)
 ⇒短編収録なし
文庫本:『西の魔女が死んだ』新潮社(2001年発行)
 ⇒後日談「渡りの一日」を収録
単行本:『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』新潮社(2017年発行)
 ⇒関連作品「ブラッキーの話」「冬の午後」「かまどに小枝を」を収録

同じ本を複数手元に置くのはちょっとなあ、と思われる方は図書館を利用されるのが良いかと思います。

まとめ

インターネットが普及して以降、社会全体で読書量は減っているのではないかと思うのです。

でも、きちんとした出版社で「本」という形になっているものは、やはり、ブログや瞬間的にバズるネット記事と比較して、一冊通して読んだ時の満足度が桁違いです。これは「本」は作者が自分の名前で発表する覚悟を持って書き上げたものであり、しっかり校閲がされていることから来るものだと思います。良い本を読むと精神も安定しますので、もし今、このパンデミックの元で不安を抱えている方がいらしたら、騙されたと思って、是非一冊、本を読み通してみてください。

読書は数をこなすほど埋没度の深い楽しみになりますので、近年読書離れされている方も、そもそも読書に親しみのない方も、是非図書館利用から手を付けてみてはいかがでしょうか。

ポッケ

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