一生に一度は登ってみたい!富士山からの絶景、あなたに見せたい景色
- 旅行
- 2017.8.11最終更新日:2021.1.4
- かいたひと:ハヤト
こんにちは! ポッケの気象予報士で山好きなハヤトです。
富士山は私の人生を大きく変えてくれた山で、これまで数えるのも面倒なくらい登ってきました。
今では、「富士登山競走」という山頂を目指す大会に参加出来るほど早く登れるようにもなりました。
そこで、今回はこの場を借りて、私が皆さんを富士山の頂上までご案内したいと思います。
いつもより写真多め&長いのですが、気軽に見て頂けたら嬉しいです。
富士登山について
富士山は2013年6月に世界文化遺産に登録されました。
昨年からは「山の日」も出来たことで、登山人気が一層高まっていますね。
夏の時期になると都内などでも富士山の山小屋の焼印の入った木の杖(金剛杖)を持った人を多く見かけることがあり、「この人はどんな富士登山をしたのかなぁ」と、その人の顔を見ながら勝手にワクワク感じることがあります。
現在では世界中から30万人前後の方々が、7月~9月上旬の開山期間中にてっぺんを目指すと言われています。
今年も9月の上旬まで残り少ないですが、富士山には誰でも登ることができますし、きっと皆さんの中にも機会があればいつかは一生に一度は登ってみたいと、密かに計画されている方もいることでしょう。
そんな方の後押しを出来たらいいなと思い、富士山の様子を紹介します。
それではさっそく、写真で「富士山からの絶景」を覗いてみましょう!
※掲載している写真はすべて私が撮ったものです
1.富士山のお天気
富士山の山頂は真夏でも冬の寒さ
まずは富士山の気象条件など気象予報士の観点から。
富士山は開山式が行われる7月の上旬~中旬にかけて頂上は雪で覆われていることが多く、梅雨明けをする海の日前後には除雪作業が完了します。
その後、頂上の道もすべて通れるようになります。(富士山の頂上は一周できます) 10月の終わりには再び雨から雪の時期に戻り、頂上付近から長い雪の季節となります。
富士山の地形の特徴は、南に駿河湾や相模湾があり、夏のこの時期は南からの暖かく湿った気流と、上空を流れる偏西風や北側からの風が複雑に絡み合うため、毎日いろんな雲が表現されています。市街地で晴れていても、山の中腹から雲がモクモクと湧き出してくるイメージです。
このおかげで山に登ると眼下に雲海を期待することができます。
▼頂上からのぞむ駿河湾
富士山では車で行ける5合目でも標高が2000mを超えているため、十分雲海を見ることができます。
▼5合目からみた朝日
▼車で雲の上まで行けます。(※マイカー規制の期間中に注意)
一般的に標高差100m毎に気温は0.5~0.6℃下がり、風速が1m/s強くなる毎に約1℃の体感温度が低くなるといわれています。
このため、真夏であっても普段過ごしている街の中と頂上付近(3776m)との標高差で、気温差が20℃以上も離れてしまうため、頂上を目指すときには夏でも冬の服装の準備が基本です。
気象条件によっては、8月でも頂上付近において雪の降った観測があるくらい、とても厳しい寒さの時もあります。特に御来光を頂上で見たいという方は注意が必要です。
「山の天気は変わりやすい」と言われているように、富士山に限らず、特に夏山は登山中に天気が様変わりしていきます。
登り始めは晴れているのに、気がついたら雲に覆われていたり、急な雨に襲われたり、雷の音が聞こえてきたりと、忙しないです。
急な天気変化(雨や霧など)で濡れた身体をそのままにしていると、低体温症になってしまう恐れもあります。天気予報を事前に確認するとともに、服装などの準備を万全にして挑戦しましょう。
▼標高なども考慮に入れた天気・気温・降水確率・発雷確率を5日先まで表示
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笠雲は強風と天気下り坂のサイン
古くから「富士山に笠雲がかかると雨」と言い伝えられていますが、頂上付近だけ雲に覆われることがあります。
こんな日は、登山を始めてもキツイだけなのでやめておきましょう。実際に私も、行ってみたけれど「登ることが出来ない日」も多く経験しています。
▼今年登ろうと思ったけどやめた日、富士吉田市より
富士山の頂上だけがすっぽり雲に覆われた状態の時を「笠雲がかかる」なんて言い、街の中では感じられませんが、上空では強い風が吹いています。この雲を見ると間もなく天気が下り坂に向かうサインとして昔から知られています。
山の上では雨だけでなく、風も強まりツライ思いをするだけなので、登山はやめておきましょう。
気象学的にいうと、気圧の谷が近づくときで、上空で非常に強い風が山にぶつかることによって急激な上昇気流が起こり、冷された水蒸気がこの雲を作っています。
また、写真の左上の雲は「吊るし雲」と言って、富士山の風下側で発生する乱気流のようなものです。この雲が単独で出ている時もこれから天気が下り坂になるサインとして知ることができます。
このように空や雲の動きに注目することを「観天望気」といい、登山などでは重宝する知識なので、知っておくと身の安全を守るために役立つ知識となります。
※天気が下り坂になる:どんどん天気が崩れていくことをいいます
夏山は大気不安定で午後は雷に注意!
夏の空では入道雲が大きく成長してきたら、急な雨の覚悟をしなければなりません。
山の雷の特徴として、平野部と違って、遠くから雷の音が聞こえてくるというよりは、一気に成長した雲から突然大きく聞こえてきます。
成長から1時間以内とあっという間の出来事です。
「観天望気」で役に立つこととして、例えば雲海の崩れ方等があります。朝に雲海が出来る時は、風が弱いので登山をすすめられるんですが、その後昼頃になっても雲海が残ったまま、上の方向にフワッと雲が登ってきたときには危ない日もあります。
▼こんな感じに雲海がまばらになると天気は安定で快適な登山に
▼急に雲が縦に伸び始めたら、一気に雨を降らせる雲に変身します
この縦に伸び始めた雲が出てくるとあっという間に大きな入道雲を発生させ、雷雨となる事があります。特に地上が暑くなり、上空に寒気がやってくる気温差が大きな日は要注意で、テレビの天気予報では「この時期としては珍しい寒気がやってくる」など表現をすることがあります。
また、「雷三日」と昔から言われるように、雷は同じ所で続けて起こりやすくなっています。
これは、上空の寒気が抜けるまでの時間を先人の人たちが肌で感じて伝えられてきた天気の言葉ですので、登り始める時には、前日から雷が鳴っているかどうかも山小屋の人に聞くといいでしょう。
※どんなに気をつけても、山に登る以上、雷の危険性は伴います。まず、雷の発生しやすい昼過ぎから夕方頃には行動を終えるように事前に計画することをお勧めします。
2.夏の富士登山
御来光
富士山に登る大きな楽しみの一つとして、御来光を見ることがあげられます。
雲海の遠くが赤くなり、一気にまぶしい光に包まれます。
▼遠くが光り輝く一瞬
▼まるで海の上にいるような雲の水平線から顔を出す朝日
5合目
▼朝日から振り返ると、5合目でも真赤に染まる富士山
5合目ではごはんを食べたり、お土産を買ったり、馬で散歩することができます。
ここで、忘れ物がないように登山の最終準備をして出発します! 登山をはじめると同じような景色が続くのですが、ひたすら登り続けます。
▼溶岩によってできた足場の悪い道
▼ロープを伝って一列になって歩きます
8合目
途中の山小屋で休憩したり、一日目は山小屋に泊まって次の日の朝の御来光を待つ人など様々です。
▼高山病になったら無理せず下山しましょう
たまに下を見てこれまでの自分の歩いた道を振り返ると、こんなに登ったのかと不思議な気持ちになります。雲もだいぶ下で、下界が見えません。
▼外国人もいっぱい
頂上!
5合目から必死に登り続けると、やっと頂上の鳥居と神社が見えてきます。
これが見えるまでが、本当に長いんです。
▼頂上到達!
やっとの思いで頂上まで登った富士山。
実は富士山は真ん中が噴火口になっているため頂上はその周りをぐるっと一周することができます。
▼噴火口は写真では分かりにくいですが、数100mの深さがあります
この富士山の頂上をぐるっと1周することを「お鉢巡り」と言います。
▼その中の一つで、願い事が叶うとされる「成就ヶ岳」
▼静岡県側の頂上付近の神社も7月のはじめは雪に埋もれています
日本で一番高い場所
ここが富士山の標高3776mの最高地点「剣ヶ峰」
▼ここより高いところは日本ではありません
あとは来た道をゆっくりと帰るだけ。
疲れた体には結構堪え、転がって帰りたいと何度も思います。
自分の足で登った分、同じ距離を下山するのがツライです。
▼去年一緒に登った子供たち
3.閉山後の富士山
一般的な登山は雪の状態にもよりますが、7月1日(山梨県側)、7月10日(静岡県側)~9月の上旬までと約2カ月しかありません。
それ以外で富士登山を希望する場合には、5合目までのバスも次第になくなり、上の山小屋も営業していないため、食糧などは持参しないといけなくなります。また、ある程度「雪山での歩き方」など訓練を受ける必要があります。
人が少なくなるのと、空の色が夏とは違って見えるのが好きです。
富士山では一足早く紅葉が始まり、あっという間に山頂を雪が覆います。
▼9月の終わりから10月の中旬にかけて紅葉の時期の富士山
▼11月から来年の6月までは雪に覆われます
▼この色は冬にしか見ることができません
▼同じ御来光でも夏と冬では何か雰囲気が違います
4.都内でも登れる富士山
最後に、「富士山に興味はあるけど、さすがにそこまで登るのは・・・」という人にオススメな場所をご紹介します。
都内近郊「富士」「富士塚」
都内近郊には「富士」や「富士塚」と言われる地名がいくつかあります。
その多くは、江戸時代後半に流行った「富士講」に由来されていると言い伝えられています。
江戸時代にも現在のような登山ブームが起こり、お金の面や日数の面から富士山は庶民の一生に一度の憧れの旅先でした。当時は、女性・子供の富士登山も禁止されていました。
そこで、富士山に行けない者も同じ御利益を得たいと考え、築かれたものが「富士塚」です。
パワースポット、鳩森八幡神社
新宿(弊社)から一番近い、鳩森八幡神社は都内最古の富士塚としてパワースポットの一つにも数えられています。実際に山頂は富士山の溶岩で作られているらしいのですが、江戸時代にどうやって持ってきたのでしょうか?気になります。
▼けっこう忠実に表現されています
▼富士塚正面からここから山頂まで約2分くらい
▼実際の富士山の登り道にも似ている気がします
▼途中の食行身禄像も再現
▼あっという間に山頂に到達!奥宮でお参り
▼下山の道も転ばないように気をつけて
▼富士塚頂上より
登った山頂(約6m)から見た風景。今では、富士山も何も見えません。
江戸時代には空気が澄んでいれば、富士山が見えていたらしいです。
実際に訪れてみると境内の爽やかな風と共に、遠く離れた富士山に魅せられて願い事を叶えたい江戸の庶民の気持ちが感じられました。
御朱印で富士登山記念にも
登頂記念に御朱印をもらうと、富士登山記念にもなります。
▼富士山のスタンプも素敵です
富士塚で雲海等は望めませんが、時間のあるときに気軽に登りに行くことができます。
都内で見かけた時は、ぜひチャレンジして富士山からの気を感じてもらいたいです。
弊社もお正月にこの神社でお参りしているので、富士山の気を少しもらっているかもしれないですね。
おわりに
長くなりましたが、これからも安全に楽しく山の天気を知って登山やハイキングに出かけてもらえればうれしいです。
今回は富士山のお話でしたが、また機会があればいろんな季節の様々な山の様子をご紹介していきたいです。
これからも「お天気.com」を宜しくお願いいたします。